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NHKから国民を守る党の代表権問題まとめ

N国党の代表権問題とは

概要

2022年7月に行われた参議院議員選挙の比例代表で、NHKから国民を守る党(以下N国党)から暴露系YouTuberガーシーこと東谷義和氏が立候補、みごと初当選を果たした。

しかし当時ガーシーは詐欺の容疑で指名手配されており、UAEドバイに滞在していた。

議員に当選してからも逮捕を恐れ、議会からの再三の要請にもかかわらず一度も帰国せず、議会に出席することはなかった。

そして2023年3月、懲罰委員会によりガーシー議員の除名が決定的となった。(※ガーシー議員は3月15日付けで参議院議員を除名される)

2023年3月8日、ガーシー問題の責任を取る形で、N国党の立花氏が党首の辞任を表明した。

党首後任には、当時まだ入党3ヶ月で議員経験ゼロ、政治知識もほぼ皆無の大津アヤカ氏が大抜擢され、政党名も政治家女子48党と党名変更された。

それまでは政治家女子48党(旧N国党)は立花タカシのワンマン独裁体制で党が運営されていた。

そして党の運営資金に関しては年間3億円の政党助成金を担保に年利5%で多くの支援者から多額の借金で賄われていた。

債権者数は約300人で、その総額は約11億円と言われている。

しかし党首が立花氏から政治経験のない若い大津氏になると、債権者たちは不安から債権の返金を求め、事務所には連日返金催促の電話が鳴り響くことになった。

慌てた立花は党首交代からわずか2週間で大津氏に代表権を自分に返すように要請。

3月28日には9時間にわたって大津綾香に、代表権を返すように説得した。

さらに3月29日、公の場で立花氏らが詰め寄り、大津氏も「やめます」と辞意(?)を表明した。

しかし!

大津氏はこの辞意を撤回。

大津氏は逆にこれまでの立花氏による政党の私物化や、資金の不透明な流れを追求し始めた。

こうしてN国党の代表権争いが始まったのである。

なお総務省法務局ともに、みんつく党が国政政党であり、党首は大津綾香と認めている。

(※現在みんつく党は国政政党の要件を満たしていないため、国政政党ではない)

時系列

日時主な出来事
2023年3月8日NHK党の党名を政治家女子48党に変更、後任党首は議員経験のない大津アヤカ氏が大抜擢される。
3月中旬不安に駆られた債権者から返金催促の電話が鳴り響く。
ガーシーが参議院議員から除名される。
3月23日受信契約者の情報を不正に取得したうえでインターネット上に拡散させると脅し、NHKの業務を妨害したとして威力業務妨害などの罪で、立花氏に懲役2年6か月執行猶予4年の有罪判決が確定する。
3月28日立花氏が9時間にわたって大津氏に、代表権を自分に返すように説得。
3月29日総会の場で立花氏が大津氏に詰め寄り、大津氏は「党首をやめる」と辞意を表明。このことにより党首が斎藤氏に移った(かに見えた)。
しかし大津氏はそのまま党首を続行することを決意する
4月6日立花氏が、大津氏を党から除名したと発表。しかし大津氏は自身のTwitterで「私は政治家女子党首を辞めていません」と投稿。対決姿勢をとる。
6月5日ガーシー逮捕。
6月9日立花氏らが政治家女子48党の党名変更届を法務局に提出。しかし変更権のない者による書類とされ受理はされなかった。
10月3日立花陣営が、大津氏に対して民事再生申立てが受理される(あくまで受理だけ)。
11月24日それまで旧N国党名義で、現在は立花氏の長男が居住している六本木の賃貸タワーマンションの契約を、大津氏が解約。
12月N国党とみんつく党のトラブルに巻き込まれたくないりそな銀行は、双方合意がある以外はどちらにも預金を引き出せないよう口座を凍結していた。
そこでみんつく党はりそな銀行以外に新たに銀行口座を作り、そこに政党交付金8000万円が入金されていたことがわかる。
12月28日大津氏より立花タカシの会計不正の中間報告書が公表される。
https://twitter.com/ayaka_otsu/status/1740220843719024859
2024年1月8日立花氏、銀座Bar~AZURAIIRU~でバイトを始める。
1月14日大津アヤカ氏と斎藤ケンイチロウ氏によるズーム対談。話し合いは平行線。
1月17日浜田サトシ議員、斉藤ケンイチロウ議員が、それまで総務省の書類上は国政政党みんつく党党員であったが、正式に離党。
みんつく党は国会議員が0人となり政党要件を満たさなくなったことで、2024年度の政党助成金が入らないことが確定する。
1月20日立花氏の音頭により、みんつく党に対して債権者申立てによる破産手続き開始の申請が行われる。
2月26日東京簡易裁判所の第一審判決で、原告であるネット選挙株式会社が勝訴。
みんつく党に50万円の支払命令が出る。即日東京高等裁判所に控訴。
3月14日ガーシーに懲役3年執行猶予5年の判決がでる。2週間後、確定。
みんつく党に対して債権者申立てによる破産手続き開始が認められる
3月15日破産管財人によって立花氏が乗っていたアルファードが差し押さえられる。
3月19日大津あやかによって、みんなでつくる党破産手続き開始決定説明会が開かれる。
3月21日代表権裁判の判決。斉藤健一郎氏の請求棄却により、大津氏がみんつく党代表であることが確定する。
3月29日定例記者会見でガーシーと決別宣言。
立花氏の長男が居住しているマンション(家賃月30万円)から退去命令。
4月1日3月25日に斉藤忠行氏が逮捕されていた。逮捕要件は不明。
4月5日かわんご(川上量生)vs立花孝志の二度目の対談がライブ配信で行われる。
川上氏の「3.5億の借金」と「大津さんへの8000万の請求」の質問に明確な返答ができず、立花氏配信途中で逃亡。
4月中旬N国党、都知事選の選挙ポスタージャック募集
4月14日ビッグスポンサー、事実上の撤退宣言。
同日、東京15区の補欠選挙にN国党から福永カツヤ弁護士が出馬表明。
選挙掲示板ジャックのイメージ画像

主な関係者

立花タカシ

元NHK職員だったが退職後、NHKの杜撰な経営や、脅迫まがいの受信料の取り立ての裏側を週刊誌で告発。

以降「NHKをぶっこわーす」というキャッチフレーズで一躍有名になる。

2015年に船橋市議会議員、2017年に葛飾区議会議員、そして2019年には第25回参議院議員通常選挙(比例区)で当選している。

これにより国政政党の要件を満たし、国政政党・NHKから国民を守る党の代表として活動してきた。

ネットであだ名はアンチからは尊師、支持者からは普通に立花さんと呼ばれている。

たまにターシーと呼ぶ人もいるがあまり定着していない。

YouTubeチャンネルでは登録者数は50万人をこえているが、現在は収益は停止されている。

自分で自分のことを「法律に詳しく、裁判のプロ」と本職の弁護士の横でも堂々と語っているが、裁判での勝率は0.1%以下。

2023年3月にはNHKの業務を妨害したとして威力業務妨害などの罪で懲役2年6か月執行猶予4年の有罪判決が確定している。

愛犬の名はサスケ。

大津アヤカ

幼少期には子役でタレント活動をしており、NHKの『週刊こどもニュース』で、池上彰の娘役として出演していた。

2023年3月8日、ガーシーが参議院を除名された問題で立花氏が党代表を辞任し、入党3ヶ月にもかかわらず党首に抜擢された。

しかし就任わずか2週間で立花氏より党首代表権を返すように言われ、一度はそれを了承したが、反旗を翻し立花氏との対決姿勢をとることとなる。

現在は党名をみんなでつくる党(みんつく党)と変え、代表党首となっている。

ガーシー

今回の事件の発端となった暴露系ユーチューバー。

もともと詐欺事件で指名手配されており、国外に出てUAEドバイに滞在していた。

立花氏から「当選したら3億払う」と言われドバイから2022年7月の参議院選に立候補。

29万票を獲得し全国比例で晴れて参議院議員となった。

しかし議会からの再三の要請にもかかわらず、1度も日本に帰国せず議会にも出席しなかったため、2023年3月に国会議員を除名となる。

2023年6月4日にドバイで拘束され強制帰国。5日に日本で逮捕された。

実は当選直後に立花氏から「すぐに3億払うから議員を辞退してほしい」という要請があったが、ガーシーはそれを断って議員になった。

蜜月関係にあるかのように見えていた2人だが、裏ではけっしてそうではなかった。

結局立花氏からガーシーには、1億円か2億円かもしくは3億円が支払われた(らしい)。

しかしガーシーからの証言は特になく事実は不明。

またそれが報酬なのか貸付なのかもわからない状態である。

出典:i.imgur.com

2024年3月14日、暴力行為等処罰法違反の常習的脅迫などの罪で、東京地裁より懲役3年執行猶予5年の判決を受け、確定した。

黒川アツヒコ

政治団体つばさの党の代表。

立花氏に誘われ2021年にN国党の選挙対策本部長に就任。

N国党の幹事長として活動。

ガーシー議員の除名後、比例でN国党の次々点で参議院議員になる権利があったが、立花氏から

「斎藤ケンイチロウを議員にしたい。毎月130万円払うから辞退してくれ」

と言われ了承。

しかし斎藤ケンイチロウ氏が議員になるや、一度も金が払われることはなかった。

この立花氏の裏切り行為にブチギレ、以降敵対関係となる。

当初は大津アヤカ党首の政治家女子48党(現在のみんつく党)の幹事長だったが、8月14日付で大津アヤカ党首より幹事長から解任され、現在は自身の政治団体つばさの党だけで活動している。

斉藤ケンイチロウ

ホリエモンの運転手兼秘書だったが政治家になりたいとホリエモンのつてで立花氏のN国党に入党。

コロナ禍で「マスク着用」と掲示してる餃子屋にマスク着けないで入ろうとして入店を拒否されたことより、ネットでのあだ名は餃子

2022年7月参議院選挙の比例ではガーシー、令和じゃない山本太郎、黒川アツヒコ、に次いで4位の得票数だった。

しかしガーシーの除名と、山本、黒川の辞退により繰り上げ当選で議員となる。

浜田サトシ

ネットでのあだ名は地蔵

見た目通り真面目な性格で、立花アンチからも議員としての活動を評価する声が多い。

立花氏によると、次の参議院選挙では比例2位で出馬が決まっている。

しかし現状のN国党では比例2位での再選の可能性はきわめて低い。

次回の参議院選挙による身の振り方が注目されている。

斉藤タダユキ

NHK党から国政選挙に3回、地方選挙に1回の出馬経験あり(当選経験なし)。

もともとNリンクスというNHK集金人の社員だったが、立花氏にスカウトされN国党入り。

立花陣営だったが、2023年9月下旬、党関係や立花氏個人の会社の預金通帳のコピー一式ほか、党が借り上げているマンションの居住者や政治資金収支報告書の支出先団体名の中身などの情報を大津アヤカに提供した。

内部告発なのか、ただの背任行為なのか?

とにかくこれにより大津アヤカからタクシー代10万円とノドグロをご馳走になり、業務委託費名目で69万4350円を受け取った。

それからわずか数日後には立花氏の動画にも出演して謝罪し、立花氏からはあっさりと許されている。

行動の目的がよくわからず、二重スパイなのかもしれないし、何も考えていないのかもしれない。

しかし大変金に困っていたようなので金目当てだったのだろう。

その後、大津氏とともに警視庁に呼ばれ出頭した。

この出頭に関しては、立花支持者からは「窃盗容疑の取調べ」といわれ、逆にアンチからは「立花の不正の内部告発」と二つの見方がある。

2024年3月25日、逮捕。

逮捕要件は不明。

逮捕当初はN国党の帳簿不正持ち出しの件と憶測が流れていたが、4月18日に公開された手記によると、N国党問題とは関係なく個人の金銭トラブルによるものだった模様。

大川ヒロシ

幸福の科学、大川隆法の長男。

大津氏の党首秘書となったが、2023年6月5日に解任されていた。

2024年1月19日、ユーチューブへの投稿動画で知人女性の名誉を傷つけたとして、名誉毀損の疑いで逮捕。

村岡弁護士

N国党の顧問弁護士。

立花氏のチャンネルにはよく立花氏といっしょに出演しているが、裁判や法律に関することでも立花氏がほとんどひとりでしゃべっているため、自身がしゃべることは少ない。

立花氏によると無償でN国党の業務を請け負っているらしい。

豊田弁護士

みんつく党顧問弁護士。

ビッグスポンサー

資金源を断たれた立花陣営に億単位で資金提供をしてくれるスポンサー。

2023年10月に1人目が登場。ふだんから数百億単位でお金を動かすことができる資産家。

その後4人まで増えたらしいが、いずれもその経歴や実態は全く謎である。

しかし2024年4月12日のN国党の会見で「ビッグスポンサーから(参議院に)当選したら10億円払うと言われた」と、事実上のビッグスポンサー撤退宣言。

現状でのN党への資金ぐりはかなり厳しくなった。

債権者

N国党に資金を貸し付けていたとされる支援者の人たち。

立花氏によるとその数は約300人、債権額は総額10.5億円らしいが、大津氏からは全く実態が見えないと言われている。

2023年10月3日 立花氏の音頭により支払督促をしたが、みんつく党側が異議申し立てをして裁判に移行したところ、212人中210人が申し立てを取り下げた。

また2024年1月20日、みんつく党に対して債権者申立てによる破産手続き開始の申請が行われ、3月14日破産手続き開始決定が認められた。

当然みんつく党はこれを不服とし抗告した。

ヒロイ マサキ

N国党の債権者300人の中のひとりで、最高金額の4000万円を融資している男性。

大阪にある2階建てアパートの3階に住んでいる。

裁判

現在行われている、立花陣営vs大津陣営の主な裁判。

ここではわかりやすくするため、立花陣営、大津陣営と記載する。

代表権裁判

代表権争いの本丸的裁判

正確には登記の代表者氏名書き換え訴訟

原告斉藤ケンイチロウ、被告大津アヤカ。

2024年3月21日原告の請求は棄却された。

国政政党(立花陣営 or 大津陣営)の代表党首は、斎藤ケンイチロウ氏(立花陣営)なのか、あるいは大津アヤカ氏(大津陣営)なのかを争っている裁判ではない。

総務省、法務局とも大津アヤカ氏を党首・代表と認めているため、その「代表者を大津アヤカから斎藤ケンイチロウに変えること」を求めた裁判であった。

しかしそもそも斎藤ケンイチロウ氏はすでに党を離党しているにも関わらず、党の代表にしろというのはロジック的に無理があった。

立花氏は立花陣営(原告斎藤ケンイチロウ)が勝った場合、大津陣営ならびに大津陣営を支援した者まで民事刑事で両方で徹底的に追求していくから覚悟しておくように、と少々物騒な宣言をしていた。

逆に負けた場合は控訴はしないと言っていた。

結果は請求棄却だったが、あっさり即日控訴した。

立花氏による3億5千万円の借入問題

立花氏が個人で、党より3億5千万円の借金をしている問題。

この時党代表は立花氏自身、会計責任者も立花氏自身。

そして借用書は存在せず、私的に独断で金を動かしているのではないかという問題。

立花氏によると、うち2億円はガーシーに支払っており、残り1億5千万円は2019年の借金の返済に当てたと主張している。

ガーシーに支払ったと言われる2億は、選挙出馬の報酬なのか、貸付けなのかもよくわからない状態。

8000万円支払い督促

2023年3月14日に立花タカシ氏が代表を務める株式会社立花隆一人放送局が、大津アヤカ党首の政治家女子48党に8000万円を貸し付けたという裁判。

2023年6月2日に督促状を、3月時点の登記簿をつけて、船橋にあった「政治家女子48党事務所」に送付した。

しかし6月には大津陣営はその事務所を移転しており受け取ることはなく、債務名義を確定させてしまった。

6月には船橋の事務所は立花陣営のN国党が使っており、それを承知の上で3月時点の登記簿をつけて督促状を送ったことが問題視されていた。

この債務名義を根拠にりそな銀行の口座を差し押さえようとしたところで大津氏が債権督促に気付き、請求異議を訴える。

大津氏が異議申し立てをした裁判が2024年1月15日に開かれたが、立花氏本人も弁護士も欠席、準備書面も出さなかったため争わずに、立花陣営の敗訴は確定的となった。

2024年4月5日のかわんごとの対談でもこの件について質問されるも「刑事訴追される恐れがあるので」と言って一切の返答を避けた。

みんつく党への破産申立

2023年9月22日、立花陣営は「債権者保護の為に、債権者333名(約総額10.5億円)を集めて、裁判する」とし、政治家女子48党にたいし、千葉地裁に民事再生法の適用を申し立てた。

しかしその後、申し出たとされる212名の債権者のうち210人が申立を取り下げた。

そして2024年1月18日に、東京地裁に立花孝志氏が大津陣営に破産申立てを行った。

大方の予想を裏切り 2024年3月14日に申立が認められ、破産手続きが開始されることになった。

大津陣営側は不服として抗告しているが、手続きはそのまま続けられる。

ところでいったい破産によって何が起こるのか?

立花派からは「これで大津は数億円もの借金を返済しなければならない」「大津ざまあ」という声が上がっている。

一方、大津派からは「管財人が入ることでこれまでの不明瞭な金の流れが白日の元に晒される」「立花ざまあ」となっている。

一体どちらの言い分が正しく、どちらが強がっているのかはわからないが、

即日これまで立花氏が自由に使っていた党名義(みんつく党名義)のアルファードが差し押さえられた。

また立花氏の長男が住む、マンションの立ち退き請求が破産管財人より出された。

選挙ポスター代金裁判

大津氏の目黒区議会議員の選挙ポスターの代金の支払いに関する裁判。

立花氏の関連会社であるネット選挙株式会社が、発注されたポスターを納品しようとしたが、大津氏はすでに別会社に発注していた。

ポスターの受け取りと代金の支払いも拒否。

立花陣営は「N国党分裂前に発注されたので契約は有効」と主張し、大津陣営は「何度も連絡はしたが最終的には期限を過ぎてから送りつけられてきた」と主張。

2024年2月26日に第一審判決で、原告であるネット選挙株式会社(立花陣営)が勝訴。

大津陣営は即日控訴している。

大津アヤカへの名誉毀損裁判

令和5年(ワ)16036号

原告立花タカシ、被告大津アヤカに対する名誉毀損裁判

2024年1月22日結審。立花孝志、全面敗訴。

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