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マンション婦人会の計画2

第一章:婦人会の提案 ― とんでもない計画の始まり

交換生活、始めます

「じゃあ、決まりね。来週から、パートナーシャッフルウィーク、始動します」

婦人会リーダーの千佳さんがそう言った瞬間、全員の空気がぴんと張り詰めた。

日曜の午後。

マンションの集会室に集まった8人の女性たち。

全員がこのマンションに住む、婦人会のメンバーだ。

パートナーシャッフルウィーク――通称「PSW」。

日本語で、夫婦交換週間。

つまり一週間毎日違う人と、日替わりお試しで、夫婦生活を送るという、まあとんでもない企画である。

料理、掃除、洗濯、そして……夜の営みも、全て込みで夫婦として生活するのです。

みんな最初は「ナニそれ(笑)」と本気で思った。

もちろん私もだ。

けれど、ふと思った。

私と真也、私たち夫婦は、このままでいいのかと。

結婚して二十年。

ケンカは無いけど、会話も少ない。

たぶんここ10年、夫婦の会話は、1日平均10分ぐらい。

夜なんて、最後にしたのはいつだっただろう。

女性たちの中には、夫の不満をはっきり言う人もいた。

「うちの人、家事は一切しないし、感謝の言葉もないのよ」

「夜はもう10年ご無沙汰。でも離婚ってほどでもないのよね」

「たまには気分転換に、ちがう人としてみたいわ~」

そんな中で、私も悩んだ

真也は悪い人じゃない。

ただ……とにかく淡白で、生活のルーティーンみたいに、存在しているだけの人になってしまった。

「ノリ子さん、どうする?参加する?もちろん拒否も自由だから」

千佳さんがそう言ったとき、意外なほどスムーズに言葉が出た。

「……やります。参加します」

その瞬間、心の奥で何かがハジけた。

不安もある。

でもほんの少し、期待もあった。

男の人に、自分がまだ女として、見てもらえるのかどうか。

「OK!じゃあ、全員参加ということで。

料理・掃除・洗濯・そして……夜のお相手まで。

みんな、頑張ろうね」

夜のお相手と聞いて、ますますドキドキしてきた。

ちなみにこの計画のことは、夫たちには当日まで一切知らされない。

「事前に言ったら、面白くないでしょ?だから“ドッキリ”形式がベストなのよ」

このプランが始まれば、毎晩ちがう奥さんが、家で旦那を出迎える。

そして一方私たちも、毎日違う家で、それぞれ夫婦になる

そのことを想像すると、胸がドキドキした。

集会が終わって、私は普段は買わないような、レースのついた、かわいい下着を買いに行った。

第二章:緊張の初日 ― はじめての「他人の夫」

いってらっしゃい、真也さん

月曜日の朝、いつもドオり、私は真也さんを見送った。

こんな改まった気持ちで、彼を送り出したのは何年ぶりだろう。

今日からいよいよ、パートナーシャッフルウィーク、夫婦交換週間のプログラムが始まる。

家に帰ってきたら、きっと真也さんは驚くだろう。

私ではない、知らない女性が、奥さんとして彼を出迎えるのだから。

そして私も、今日から1週間、ほとんど初対面に近い男性たちと、日替わりで夫婦として生活するのだ。

おかえりなさい、私が奥さんです

初日、私が担当する夫は、静香さんのご主人、正彦さん。

マンション内でも、見かけたことは数回しかない。

挨拶を交わしたこともない、ほぼ初対面。

部屋は203号室。

預かっている合鍵で、部屋に入った。

リビングは整っていて、清潔感があった。

いかにも几帳面な、静香さんらしい空間だった。

午後5時過ぎ、煮物の匂いが部屋に広がり始めた頃、玄関の扉が開いた。

「……ただいまあ」

「おかえりなさい、正彦さん!」

私はいきなり名前で呼んでみた。

「……あれ?えっと……どちら様?」

玄関でフリーズする正彦さん。

私はエプロン姿のまま近づき、軽く会釈した。

「こんばんは。はじめまして。

マンション婦人会の特別企画、パートナーシャッフルウィークによる、今日のあなたの奥さんの、ノリ子です。

よろしくお願いします」

自分で言っておきながら、めちゃくちゃ恥ずかしい。

このセリフ、リハーサルではなんともなかったのに、いざ本番で口にすると、一気に赤面する破壊力がある。

彼もまだ、状況を理解しきれていない様子。

そりゃそうだ。

初めて会った女性に、いきなり「あなたの奥さんです」と言われたのだ。

「奥さん?なに、なにそれ?」

私は彼に、パートナーシャッフルウィークの、趣旨とルールについて説明した。

「つまり……今日から1週間、毎日奥さんが変わるってこと?」

「そうです、お料理も掃除も、夜のお相手もです」

「ええっ?今『夜も』っていわなかった?」

「そうです、『夜も』です」

すでに赤かった私の顔が、ますます赤くなるのがわかった。

唖然とする正彦さんを尻目に、私は平静を装った。

だが心臓が破裂しそうなぐらい、ずっとドキドキしていた。

夜のルール、だって夫婦ですから。

食事が始まり、お互い少しずつ会話するようになった。

会話の内容は、もっぱら今回の企画についてだった。

「ノリ子さんは、夫婦交換の経験あるんですか?

こんなの、ドラマの中だけと思ってた。

それがまさか、自分が実際体験することになるなんて」

「私も初めてですよ。正直、今でも信じられないです」

食事が終わって、順番にお風呂を済ませると、あとは自然と一緒にベッドに入った。

ついにその時が来た。

「あの……本当にいいんですか?」

彼は念を押すように聞いてきた。

「ルールで、“奥さん”の役割に、夜も含まれていますので」

自分で自分の声が震えているのがわかった。

心臓はずっとドキドキしていた。

でも正彦さんはゆっくり頷いて、

「無理はしないでください。一緒に寝るだけでも、僕は別に構いません」

優しくそう言ってくれた。

実を言うと、私は夫以外の男性経験は1人だけ。

結婚してからも、夫以外の男の人と、ベッドに入るなんて、想像したこともなかった。

布団の中はあたたかくて、でもちょっと気まずくて、どうしたらいいか分からなかった。

彼も同じように戸惑っていたけれど、やさしく気を使ってくれた。

「ありがとう。最初の夜があなたで良かった」

触れ合いは、ごくやわらかいものだった。

優しく、慎重で、まるで初体験の時みたい

──セックス、というより、肌の温もりを交換しただけだった気がする。

「……ごめんなさい、なんかぎこちなくて」

「僕もです。緊張しました

私は天井を見つめながら、妙に冷静な自分に気づいた。

「私って、まだ女だったんだ」

それは“確認”だった。

男の人に、女として受け入れてもらえた。

それだけで、少しだけ自分に自信が戻ってくるのを感じた。

唇に残る朝のキス

翌朝、私は出勤する正彦さんを見送った。

「いろいろありがとう……じゃあ行ってきます」

私は彼のネクタイを直してあげた。

「いってらっしゃい」

そう言って彼に抱きつき、唇にキスをした。

正彦さんは目を丸くしながらも、少し嬉しそうに微笑んだ。

「今夜は別の奥さんがきますので」

私がそう言うと、彼は少し残念そうに

「今日もノリ子さんだったらいいのになあ」

と言ってくれた。

「大丈夫です、今日の奥さんも、きっと素敵な方ですよ」

私がそう言うと

「投票では、ノリ子さんの名前を書くよ」

「ありがとう。私も正彦さんと書きます」

こうしてパートナーシャッフルウィーク、緊張の初日が終わった。

奥さんとしての一日目は、思ったよりも悪くなかった。

正彦さんを送りだしたあと、私はエプロンと着替えをカバンに入れて、部屋を後にした。

正彦さんとのキスの感触が、まだ唇に残っている気がする。

たった一晩のことだったのに、新しい恋をしたような気分だった。

第三章:七つの夜 ― 女として、妻として

401号室の饒舌王子

さて、2日目の訪問先は、401号室。

美佐子さんのご主人、アキラさんが今日の私の夫だ。

婦人会ではおしゃべり好きな美佐子さんから、普段どんな人なのか、しょっちゅう聞かされている。

しかし私は本人とは面識がない。

部屋に入ると、結構散らかっていた。

「なるほど、美佐子さんが言ってたとおりね」

でも勝手に片付けると、機嫌が悪くなるらしい。

私はあえて掃除はしないで、夕食の支度を始めた。

6時すぎ、アキラさんが帰ってきた。

「今日の奥さんも素敵な人だあーーー😀」

彼は私の顔を見るなり、ハイテンションに喜んでくれた。

パートナーシャッフルウィークも2日目で、その趣旨をしっかり理解してくれてるようだ。

「こんな素敵な企画、これからもずっと続いて欲しいよ」

「私なんかでこんなに喜んでもらえて。こちらこそうれしいです」

晩酌にビールを2本。

少しほろ酔いのまま、自然に手を取られ、わたしは抱き寄せられた。

彼との夜は、ふわりと優しい抱擁から始まり、終始リードしてくれる、大人の余裕に包まれたものだった。

エレベーターの彼と、野菜カレー

3日目、303号室。

由紀恵さんのご主人、ジュンさん。

この方とは同じ階のため、エレベーターでもよく一緒になった

普段顔見知りの人と、1日だけとはいえ、夫婦になるのは、今までとは違った恥ずかしさがある。

今後エレベーターで会ったら、ちょっと気まずいかなあ……

そう思ったりもした。

実は菜食主義者の彼の夕飯は、ビーガン用カレーとサラダ。

苦労したけど、野菜だけのカレー作りは勉強になった。

彼は普段から無口らしく、食事中も会話はあまり無かった。

でもベッドに入ると、急にスイッチが入って饒舌に。

まるで映画やドラマのような、甘いセリフを耳元で囁いてくる。

その変貌ぶりに、私は……濡れた。

千佳さんのご主人

4日目、502号室。

婦人会のリーダー・千佳さんの夫、トオルさん。

ここは……緊張した。

相手が千佳さんのご主人というだけで、何かいろいろ、審査されているような気がする。

部屋に入って驚いた。

まるでホテルのように無駄がなく、徹底的に整理されていた。

彼は物静かで、終始こちらのペースを尊重してくれた。

夜も「無理しなくていいですよ」と言ってくれたけど、逆にその優しさに吸い込まれるように、私は自分から彼の腕の中に入っていった。

いろんな愛を知った

5日目、604号室。

里美さんの夫、サトルさん。

眼鏡をかけた、穏やかな感じの中年男性。

どこか韓国ドラマの俳優さんみたいな雰囲気があった。

里美さんとは高校時代の同級生だったらしい。

お互い初めて付き合った相手で、そのまま結婚した。

だから今までセックスは、お互いしか知らなかったのだとか。

「今まで随分、損をしてきたんだなあ。これからもっと、いろんな女性を知りたくなった」

きっとこの人は、この企画が終わったら、いっぱい浮気するだろう。

そう思った。

夜はベッドの格闘技

6日目、703号室。

美容師、玲子さんの旦那、ツヨシさん。

部屋に入った途端、甘いアロマの香りと、たくさんの筋トレ器具。

ツヨシさんは、毎日カラダを鍛えている人だった。

シャツの上からでもわかる、分厚い胸板に、上腕二頭筋!

私は今夜、この人に抱かれるのか!?

そう思うと、少し怖くなった💦

そして案の定、これまでで最も激しい夜になった。

ベッドでこんなに汗をかいたのは、生まれて初めてだった。

翌朝、筋肉痛で起きるのがつらかった。

だが、不思議と後味は悪くなく、むしろ心地よい疲労感が残っていた。

「来月からジムに通おうかな」

なんて思ったりもした。

ノンちゃん、最高だったよ

そして最終日。

なぜか少し名残惜しい気持ちになっていた

この日は802号室。

弘美さんの旦那、ヨウイチさん。

この人は私のことを、ノンちゃんと呼んだ。

「ノンちゃん、料理うまいし、話も面白い」

そして真面目な顔で

「それに何より、エッチの相性が最高だったよ」

と言った。

「この一週間、いろんな奥さんが来たけど、俺はノンちゃんが一番良かった」

「明日の投票日、オレ絶対ノンちゃんの名前書くからね」

そう言ってくれた。

第四章:再選択と再出発 ― わたしたち夫婦のこれから

最後の審判

いよいよ、最終投票の時間になった。

メンバー全員が集会所に集められた。

相談が出来ないように、各自離れて座らされた。

一人1枚、投票用紙が配られた。

『今後あなたが、人生のパートナーとして選びたい相手を、第1から第3希望まで記入してください』と書いてあった。

私はじっと、手元の投票用紙を見つめていた

この1週間で出会った、7人の男性たち。

頭の中で、それぞれを振り返る。

私は新しいパートナーの名前を、何度も書いては消した。

「ノリ子さん、悩んでますね?」

隣の席の玲子さんが覗き込んできた。

「うちの旦那、きっとノリ子さんに投票してるわ。

「本当に?」

「ちょっとヤキモチ焼いちゃった。でも私も真也さんが良かったし」

それを聞いて、私は誰に投票するか決心した。

私は記入を終え、投票した。

そして結審。私たちの名前を呼ばれて

そして新しいパートナーが決定した

「AIマッチングによる、リスタートする夫婦を発表します」

司会の千佳さんが、次々と新しいパートナーの名前を読み上げていく。

その度に、全員から拍手と歓声が起こった。

「そして最後のマッチングです。ノリ子さんのお相手は」

ここでタメを作る千佳さん。そして

「真也さんに決定しましたあ!」

会場が一瞬静まり返った

「ちなみに真也さんとノリ子さんは、お二人とも第1希望から第3希望まで、全部お互いの名前を書かれてました」

それを聞いて、全員から笑い声と拍手が起こった。

私たちも笑った。

実家のような安心感

パートナーシャッフルウィークは終わった。

みんな今夜から新しい夫婦となって、今までとはちがう部屋に帰っていった。

私たちだけが、元の部屋に戻った。

「やっぱりこの部屋が一番落ち着くね」

「実家のような安心感」

そう言って二人とも笑った。

「楽しかった?」

「うん、正直楽しかったわ。でも最終的には、やっぱり真也が良かった」

夫婦の在り方を、改めて考えさせてくれた、パートナーシャッフルウィーク。

冷静に考えれば、本当にとんでもない企画だ。

でも全員が幸せになった、奇跡の企画でもあった。

そして夜。

久しぶりに同じベッドに入る。

真也が少しモジモジしている

「どうしたの?」

「……その、久しぶりに、ノリ子とエッチしたい」

私は笑って、彼の頬を軽くたたいた。

「毎日したでしょ?まだしたいの?」

「うん、ノリ子ともしたい」

「それ、なんか比べられるみたいでヤダ」

「比べるんじゃないよ、確認したいんだ」

「疲れたわ。今日はもう寝たい」

私がそう言うと、真也は少し残念そうだった。

「でも手はつないで寝ましょう」

そう言って電気を消す。

真也はふとんの中で、ぎゅっと手を握り返してきた。

そして私は思った。

夫婦って、たぶんこれくらいの距離感でいいんだなって。

「これからも、どうぞよろしくね」

そう言って、私たちは眠りについた。

(完)

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