AI小説

くらす荘で暮らす人たち #2

くらす荘物語 #2

サクラサクカ!?

わたしは京子。55歳です

クラス荘というシェアハウスで、管理にんをしています。

これは今から10年前、私がこのクラス荘に、新規入居者としてやってきた時のお話です。

この時、わたしは45歳でした。

実は私はこの歳になっても、男性とお付き合いしたことがありませんでした。

恋愛経験はもちろん、男性経験もなかったのです。

それはつまり、私は処女ということでした。

私がセックスという行為を知ったのが、小学校5年生の時。

高校生の従姉妹が読んでいた、レディースコミックと言われる漫画雑誌で知りました。

子どもがセックスの存在を知った時、みんな考えることは同じだと思います

「私の初めてのセックスの相手は、どんな人だろう……」

まだ11歳だった私も、そんなことを考えました。

その妄想は止まらず、中学生の頃には、ずっとセックスのことばかり考えていました。

それなのに私は、高校生になっても、短大生になっても、そして社会人になっても。

男性とお付き合いすることがありませんでした。

つまりセックスを経験できなかったのです

考えてみれば当然のことでした。

私は教室では目立たない、地味な陰キャラ。

クラスの三軍女子だったのです。

ひょっとしたら、三軍にも入っていなかったかもしれません。

そんな私が、男子とお付き合いできるわけありませんでした。

そして気がつけば30歳、私はあせるようになり、いっそ相手は誰でもいいから経験したい!

そんなふうに考えるようにもなりました。

30歳をすぎてからは、sexというのが、現実感のない、遠い世界のお話のように思えてきました。

こうして私は、処女のまま、45歳になったのです。

いきなり管理人

そんな私が、シェアハウスの入居者募集に応募しました。

若い男女が、一つ屋根の下で共同生活をし、時には恋愛に発展したりする。

ドラマなどでよく見る、そんなシェアハウス生活に憧れていたからです。

シェアハウスというと、普通は若者が住むイメージです。

しかしこのクラス荘は、熟年専用のシェアハウスでした。

クラス荘という名前は、生活の暮らすと、学級のクラスをかけたものだそうです。

このハウスは、もう一度青春時代にもどりたいと思っている、いわば大人のセカンド青春の家だったのです。

もっとも3軍の私には、青春はセカンドどころか、ファーストもありませんでしたけど。

クラス荘の管理人、聡太さんは55歳でした。

入居初日、管理人さんは私に、このクラス荘での規則を教えてくれました。

「クラス荘へようこそ。

ここは皆さんが、10代の頃にもどって、学校のクラスのような気持ちで生活する家です

そのために、いくつかルールがあります」

共有スペースの使い方、掃除当番、私物の管理など、丁寧に説明してくださいました。

「それともうひとつ、重要なルールがあります」

管理人さんの、声のトーンが上がりました。

「住人同士での、男女交際は禁止です」

それを聞いて、一瞬わたしは目が点になりました

「恋愛禁止……ですか……」

「今ここでは、男女3人ずつ、計6人のかたが生活しています。

しかしハウスは、出会いの場ではありません。

恋愛がからむと、人間関係が崩れるのは、中高生でも大人でも一緒ですから」

管理にんさんから、キッパリとそう言われました。

ひょっとしたら、ここでいいひとと出会って、恋愛に発展するかも

そんな下心を、管理にんさんは見透かしたかのように、釘を刺してきました。

でももともと、恋愛には縁がなかった私です。

むしろスッキリして、その方がいいかもしれません。

「それと……これは少し気になることなのですが——」

管理人さんは、少し困ったような表情になりました。

「実は、このハウスに新しく入居された女性は、なぜかすぐに退去されてしまうんです。

いじめでもあるのかと思ったのですが、そうでもないみたいで。

理由は分かりませんが、もし何か気づいたら、すぐに教えてください」

愛のリハビリテーション

こうして私は、クラス荘の住人になりました。

男性は最年長の一馬さんを筆頭に、清四郎さん、吾郎さん。

女性は双葉さん、三津子さん、六花さん。

そして部屋は女性は1階、男性は2階。

私の部屋は、1階の一番奥でした。

私はクラス荘で最年少の住人でした。

ハウスの住人たちは皆フレンドリーで、すぐに馴染むことができました。

特に夜のリビングでの談笑は、まるで学校のクラスのような気楽さがありました。

リビングで皆とテレビを見ながら世間話をしたり、他愛のない話で盛り上がったり。

最初は「みんなの輪の中に、はいれなかったらどうしよう」

そう心配していましたが、取り越し苦労でした。

私はここにきて、本当に良かったと思いました。

今夜待ってる

入居して3日目の夜のことでした。

私は自室で、ひとり本を読んでいました。

すると、男性の誰かがそっと、階段を降りてくる音が聞こえました。

(こんな時間に誰だろう……?)

ドアの隙間から覗くと、男性の誰かが、となりの部屋に入っていくのが見えました。

隣は双葉さんの部屋でした。

5分後には、別の誰かが今度は三津子さんの部屋に。

そして最後は、六花さんの部屋に入っていきました。

(まさか……)

やがてしばらくすると、それぞれの部屋から、小さく押し殺した、喘ぎ声が聞こえてきました。

それは明らかに、男女がセックスをしている声でした。

そして男女の荒い息遣いとともに、ギシギシとベッドが軋む音。

ここでは夜になると、男性が女性の部屋に通ってくる

いわゆる、夜這いが行われていたのです

1時間もして静かになると、男性たちが部屋に帰っていくのが分かりました。

(まさか、こんなことが……)

たしかに、いくら恋愛禁止だと言っても、規則なんかで男女の心を縛れるはずがありません。

それでも6人全員が、3組のカップルとして成立していることに驚きました

私は自分が、まだ10代だった頃を思い出しました。

周りでみんなカップルになり、付き合いはじめていたのに。

わたしだけ、彼氏ができなかったあの頃を

揺れる心

次の日の朝。

リビングではみんなが、普通に朝食をとっていました。

昨夜この人たちは、誰と誰かはわからないけど、みんなセックスしていたんだ。

誰と誰だろう……?

わたしは朝から、そんなことばかり考えていました

夜這いは決まって、かあもくどおの、週3回行われていました。

特に週末土曜日は、少し早めに男性がやってきて、早朝まで部屋にいることが多かったのです。

みんな50代なのに、随分お盛んでした

みんなの喘ぎ声を聞きながら

「(いっそ誰か、私のところへ、夜這いに来てくれないかなあ。45歳だけど、処女がここにいるのよ)」

そんなことを思っていました

やましい関係

私は誰と誰がカップルなのか、見極めようと思いました。

ですが6人とも、みんな平等に仲が良かったのです。

観察を続けましたが、全然わかりませんでした。

唯一、男女の年長の一馬さんと双葉さん。

確信は持てませんが、この二人だけは「ひょっとしてと思いました。

ある日、たまたまリビングで、私と一馬さんと双葉さんの3人になったとき、

思い切って聞いてみることにしました。

「お二人は付き合っているんですか」

わたしがストレートにそう聞くと、一馬さんは少し苦笑いしました。

「実は俺たち、今度結婚するんだ。今月いっぱいで、ここを出るんだよ」

私はそれを聞いて納得しました。

「やっぱり。ここはみんな仲がいいんですけど、お二人は特にそうだったので、もしかしてと思いました」

でもそうなると、あとの四人はどういう組み合わせなんだろう。

この際なので、ふたりに聞いてみました。

「残りの四人もカップルですよね。

夜になると、それぞれ女性の部屋に、男性が夜這いにやってくる。

いったい誰と誰が付き合ってるんでしょうか

よかったら教えてもらえませんか」

返ってきた答えは、大変驚きでした。

「実はね、誰も特に付き合ってはいないんだよ」

最初、私はその意味がわかりませんでした。

「俺たち6人は、それぞれ平等な形で、パートナーをシェアしあってるんだ

ひとことで言うなら、多夫多妻の関係なんだよ」

そして双葉さんが、笑いながら続けました

「週に3回、一人に偏ることがないように、全員平等にローテーションしながら、夜を楽しんでいるのよ」

多夫多妻とか、平等にローテーションとか、処女の私には、想像もできない世界でした

「でもそれだと、お二人はもうすぐ夫婦になるのに、ほかの人ともセックスしてるということですか?」

私は素朴な疑問をぶつけました

「もともと出会いがこのハウスだったから」

「それぞれが住人全員とセックスした結果、私と一馬さんは特に相性がよかったの」

「それだったら、いっそ結婚しちゃおうかってことになったんだ」

ふたりは笑いながら答えてくれました。

「じゃあ昨夜もお二人は、別の人とセックスしていたんですか」

「そうね、昨夜はわたしは吾郎さんと」

「オレは六花さんとだった」

「これももう終わりかと思うと、かえって燃えちゃって」

このハウスでは、私の妄想をはるかに超えた行為が行われていたのです

「京子さん、あなたも入りたそうね」

その言葉に、わたしはドキっとしました。

わたしが思っていたことが、見透かされたようでした。

私は顔が真っ赤になりましたが、だまって頷きました。

しかし、

「申し訳ないが、京子さんが我々の仲間に入るには、ひとつ問題がある。

この関係は、男女が平等な数だからこそ成り立っている。

だがここに京子さんが加わると、女性の数が多くなり、不平等になってしまう。それは認められない」

京子さんが仲間に入りたいのであれば、三津子さんか六花さんの、どちらかが抜けるか、

あるいは新しい男性住人が入ってくるのを待つしかないんだ。

「みんな最初は待つというけど、結局待ちきれずに出ていくのよ」

女性の新規入居者が、すぐに出ていく理由がわかりました。

自分以外の住人が、毎回パートナーを変えて、セックスライフを楽しんでいるのに。

それなのに自分だけずっとお預けをくらったら、誰だって我慢できなくなるのは当然です。

誰かが抜けるか、あるいは新しい人が入ってくるまでと言われましたが、いったいいつまで待てばいいのでしょうか?

それは半年なのか、1年なのか。

その間ずっと、みんなが夜を楽しんでいるのを、ただ指を咥えて見ているだけなのです。

ものすごい疎外感に、私は苛まれました。

あぶない夜

そしてまた夜がやってきました。

今夜もまた、私以外の部屋で、夜這いがある日です。

夜の10時を回ったころ、階段の軋む音がしました。

男性たちが順番に、それぞれの部屋に入っていきました。

「待っていたわ」「もう我慢できないの」

艶かしい男女の会話が聞こえてきました。

そしてしばらくすると、3つの部屋から男女の喘ぎ声が。

私の部屋は一番奥だったため、周り全てから、いやらしい声が聞こえてくるようでした。

それらの声に私は耐えきれず、部屋を出ました。

それは寂しさからでした

ここなら私の居場所があると思っていたのに。

でも7人の住人の中で、私だけが味わう疎外感。

友だちの輪に入っていけず、いつも一人でいた頃を思い出しました。

私は泣きながら、ひとりリビングのソファーに座っていました。

「どうしたんですか?」

後ろからいきなり声をかけられました。

管理人の聡太さんでした。

「実は……」

私はみんなの夜這いのことを話しました。

そしてその輪に、私はハイれないことも。

「夜這いのことは知ってましたが。

人数を合わせていることまでは、気が付きませんでした。

あの人たちなりに、考えたルールなんですね」

管理人さんは変なところで感心していました。

「夜這いのことを知っていたなんて。恋愛禁止の規則はなんだったんですか」

私は管理人さんに食ってかかりました。

「そうですね、あれは実は意味はないです。

このクラス荘は、10代に戻ってセカンド青春を送ることがコンセプトです。

中学や高校で、男女交際禁止なんて校則、誰も守ってなかったでしょう。

校則なんて、破るためにあるんですよ。

でもそうやって、学校や先生から隠れて恋愛した方が楽しいじゃないですか。

だから皆さんに喜んでもらおうと、形だけの規則を作ったんです」

そう言われ、私は妙に納得しました。

「実は私はこの歳になって、男の人とお付き合いしたことがありません。

男性経験がない、処女なんです。

なのにセックスへの妄想だけは、人の何倍もあります。

私はあの中に入りたい。

そして今からでも、青春をやり直したいんです」

私が処女だとカミングアウトすると、カンリニンさんは冷静に

「たぶんそうだろうと思っていました」

と言われました。

「ここは青春をやり直したいと思う、三軍だった人たちが集まる家なんです。

だからみんな恋愛経験の少ない、いえ、全く無かった人たちばかりなんですよ」

「あのみなさんが、ですか?」

「今いる女性たちは、ここに来るまで全員処女でした。

男も童貞か、せいぜい風俗経験しかない人ばかりです。

私が面接でそれを見極めるんです」

私は驚きました。

ここに来るまで、みんなセックス経験が無い?

それが今では夜這いして、さらにパートナーを共有するまでになるなんて!?

「みんな青春を取り戻すのに必死なんです。

昔できなかった夢を、今このハウスでかなえているんです」

管理人さんは誇らしげに言いました。

「京子さんも、みんなのあの輪の中に入りたいですか?

私は黙って頷きました。

「男女の人数を揃えればいいんですね。

それならぼくと一緒に、仲間に入れてもらうように頼めば解決ですよ」

その手があった。管理人さんの斬新な発想に、私は目から鱗の心境でした。

しかし管理人さんは続けました。

「でもぼくは、京子さんにはあの輪の中に入ってほしくない。

京子さんは、僕の専属パートナーになって欲しいんです」

そう言うと、今度は管理人さんの顔が真っ赤になりました。

そして

「京子さんの初めてを、ぼくにください」

生まれて初めて男性から告白されました。

私はうれし涙を拭きながら「はいと返事をすると、手をひかれ、2階のカンリニンさんの部屋へ行きました

ずっと夢にまでみた初体験。

45歳の青春でした。

夢一夜

管理人室を出ると、いつの間にか住人のみんなが、ドアの外で私たちを待っていました。

「みんな、いつのまに!?」

「京子さんの声が大きくて、1階まで聞こえてきたんですよ」

「みんなびっくりして、自分たちのことは止めて、ここで待ってたんだ」

そしてみんなから「初体験おめでとう」と、祝福されました。

「管理人さん、次回から我々と一緒に夜這いしますか」

一馬さんがそう言ってくれましたが

「僕たち、結婚することにしました」

「ですので私は、管理人さん、いえ、聡太さん専用です」

と結婚宣言をしました。

また全員から、祝福と拍手が起こりました。

でもあとになってから

「やっぱり夜這いもしてみたかったな。

このままだと、私の経験人数は、聡太さん一人だけになってしまう」

と少し後悔した私でした。

Youtubeでも動画配信中

実はYoutubeでは収益が停止されています。

つまりいくら再生されてもお金が入ってこないのです(涙)

直接的な描写はないのに、Youtubeの規約がだんだんキツくなってきて、この程度でも収益を止められます。

でもこのくらす荘は、自分でも好きな作品なので、みなさん、どうか楽しんでください。(作者 梶田檸檬)

-AI小説
-, ,